【成功事例】
ダイニングバー開業で自己資金ほぼゼロから900万円の資金を調達した方
来られたのは、ダイニングバーを開業したいという28歳の黒沢さん
黒沢さん「○○の近くにダイニングバーををなんとか開店したいんですが・・・」
私 「ほっ、なるほど。今まではどんな仕事をやってこられましたか?」
黒沢さん「中学を出てすぐ鉄板焼の店に雇用してもらって3年やってて、その後ダイニングバーでの料理人見習いで入れてもらうことができたのが料理人としての最初のキャリアになりますね。」
詳しく聞いてみると、料理人としては12年もの職歴があることがわかりました。
私 「今現在持っている自己資金はどれくらいでしょうか?」
黒沢さん「10万円くらいです」
私 「う~ん、そうですか~ それだけだと失礼ながら、どこの金融機関に行っても自己資金ゼロとみなされてしまいますね~」
通帳を確認したら、たしかに3つの口座合わせてやっと10万円を超える程度しか持っておられない。
なぜ12年も勤務していて(そののうち店長だったのが5年)、給与も特に低いわけでは無いにもかかわらず貯金がまったく無いのか、つっこんでヒアリングしていくと(ここには書きませんが)いろんな事情で貯金をしたくてもなかなかが出来ない状況でだったことがわかりました。
実の両親あるいは祖父母から資金を多少でも援助してもらうことができるかどうか、ということもお聞きしましたが、不可能とのこと。
私 「なるほど。それはご事情ですからしかたないですね。ダイニングバーを開店するに、いったい総額でどれくらいの創業資金が最低必要だと計算されてますでしょうか?」
黒沢さん「1000万円必要なんです」
私 「う~ん、1000万円もですか~」
ダイニングバーを開店するに当たってどこの金融機関からでもいいから、合わせて1000万円の起業資金の借り入れをするための近道を教えて欲しい、というのが相談内容であることがわかりました。
う~ん、しかしそれだけの自己資金ではキビシい~ と困ってしまった私。
私 「起業資金の融資を受けて、具体的にどういうコンセプトのダイニングバーをやりたいと思っているのですか?」
黒沢さん「それなんですがね!」
待ってましたとばかりに、どんな感じの内装にして、どんな調度品を置いて、どんなレイアウトにして、どんなお客さんに来てもらいたいか、どんなメニューを出したいか、語る語る・・・怒涛の如く湧いて出るかのように、考えていることを熱っぽく話されました。
私 「どの場所でやるんですか?」
黒沢さん「○○○駅から徒歩10分の・・・・」
どうしてその場所にこだわるのか、ワケを聞いたのですが、それは説得力があるものでした。
しかし・・・
「なぜ、そこまでの創業資金額が最低限必要だと思っているのか」は、いくら説明を聞いても、正直よくわからないものでした。
「自分が理想とするダイニングバーにするには、最低これだけのグレードのものをそろえないと」の一点張り。
さらに・・・
なぜそこへ出せばお客さんがたくさん集客出来るのか、また、どれだけ自信がある集客方法を既に持っているのか、ということも非常に大事なところなので聞いていきましたが、これまた、十分納得いくような説明は1時間くらいかけても得られませんでした。
実際商売として成立するかどうかというのがかなり甘いものであることがわかったのです。
結局、それから何回ものやりとりはあったものの、開業資金の融資を600万円でおさめるように検討していくことに。
これだけでもかなりの時間とエネルギーを要しました。
そしてそれがやっと終わったら、そこからがまたたいへんです。
なんせ自己資金がほぼゼロなんですから、原則はその時点でアウトです。
そうなると「本人がいかに信頼おける人か」「集客方法が完璧なので売上は必ず上がり利益も十分出て絶対返済出来る」ということをかなり説得力あるように説明するしかありません。
当事務所が常日頃から親しくしてもらっている金融機関を4つに当たって交渉した結果「わかりました。そういう状況なら書類をきっちり作ってきてもらったら前向きに検討します」と言ってもらえたところが2行ありました。
そこから、黒沢さんから過去やってきた集客方法のヒアリングを何回も行ってそれをブラッシュアップした形にして説得力持たせる、また、わたしどもが持っている飲食店の集客ノウハウを付け加えてさらに説得力を持たせる、ということを何回もやって書類を完成させました。
2つの金融機関にそれぞれ500万円の融資希望額を出すことに。
結果・・・・・
私どもが中心に作った融資申込書類に対して金融機関からの質問がいくつもあり、かなりハードな交渉した結果、金融機関2つから(希望額をやや削られはしましたが)合わせて900万円の開業資金を借りることができました。
もちろん、創業計画書作成にあたって
- なぜその希望額の創業資金が必要なのか
- ある程度の人数のお客さんが最初から来る理由
- 生活費が稼げた上に、借りたお金の返済もできるという理由
- やってみても集客がほとんど出来ず利益が出ないという最悪の場合にどう対処するのか
といったことを、創業計画書の中にかなり説得力あるようにA4で10枚以上にも書き込んだことを付け加えさせていただきます。
ポイント!
- 創業時に必要な額は、最低限これくらい、理想はこれくらい、というのはシビアに何回も見積もる
- 自己資金がほとんど無いというのは、原則はアウトだが、手を尽くせば方法はある。
- 創業資金の融資を受けることが出来るのは日本政策金融公庫だけと決めつけない。
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