メニューの数は少ないのが良い!
普通、メニューは出来るだけ数が多いのが良いと考えがちです。
材料のロスが心配だから品目を絞るのはお客様の立場に立っていないと反論されそうです。
ところが現実には、多くの選択肢があっても、人はそれを満遍なく食べるわけではありません。
ある一定の範囲の食べ物に目がいき、注文も集中します。
「たまには違ったもの」と変わったものを求めるお客様もいますが、それは限られた人達です。
ですから、その期待に応えられなくても、店舗運営にはそれほど影響しません。
何でもある店にしたいと数多くメニューに載せますと、月に1回の注文でも、お客様の注文がある限りそれを出さなければなりません。
それは、そのメニューの為の食材を、いつも確保しなければならないということです。
1カ月に1,2品しか出ない食材を保管するとなると、たとえば、その品物が1週間の賞味期限の場合、2,3週間分の食材は捨てることになります。
保管スペースの問題も無視できず、こうしたメニューは、店舗にロスを与えても、利益になることはありません。
結局「メニューは少ないのが良い」ということになってくるのです。
もちろん、カレーライス専門店やラーメン専門店などでもないのに、あまりメニューが少ないと、選ぶ喜び、食べる喜びを削いでしまう可能性もあります。
それぞれの店舗の形態、規模によって期待されるメニューの数はあるものです。
より少ない品数で最大の効果を上げるメニュー構成を探し出すのは、成功の要因の一つです。
稼ぐメニューとそうでないメニューをはっきりわける!
メニュー構成は、単独に考えるものではなく、総合的に考えましょう。
店舗側から考えれば、まず利益の取れるメニュー構成でなければなりません。
つまり、準備や製造にあまり時間のかからない料理、しかも造り置き出来て、短時間でテーブルに出せるものが理想です。
その食材は日持ちのするものや冷凍できる、しかも安価なものが理想です。
いつも新鮮な材料だけでつくる料理は、当然ロス率も高く、見かけ上では利益がとれるように思えても、最終的には赤字になってしまうものがあります。
食材の提供者からいえば、緊急な注文にもすぐに応じられるような食材を使うメニューが理想になります。
品切れにすぐに応じられないようなものでは店側が困るのです。
顧客の立場から言えば、何といっても美味しく、安く、タイミングよく出される料理がいいに決まっています。
またその店でしか食べられず、何度でも食べたいと思うような料理こそが理想です。
メニュー構成はこれらの勘案して考えます。
まず、「売りたい料理」
利益もそこそこ取れて、調理の手間やサービスの手間のかからない料理です。
客席に運ぶだけで、あとはお客様が勝手に喜んで料理してもらえるようなものがその典型です。
「焼肉」とか、「すき焼き」とか、「しゃぶしゃぶ」などがその代表ですね。
次に、「品揃えの料理」
これはベースになる食材は他のものと共有するものの、少し手を加えるだけで異なった料理になるものです。
たとえば、カレーライスを、ポーク、チキン、野菜と区別したり、辛さの程度を変えることで何十種類もあるように錯覚させる料理です。
いろいろ出来るよ、とアピールする料理です。
最後に、「稼ぐ料理」
これが最も重要で、ラーメン店なら、チャーシュー麺とかコーンバター麺といったようなものです。
基本となる「ラーメン」にチャーシューやコーンとバターを乗せるだけで、付加価値をつけられるものであり、プラスアルファーの価格をとることが出来る料理です。
このように、メニューを考える際には、いろいろな要素を勘案しながら構成したいものです。
価格設定のポイント!
メニューを考えたら、その価格をどのように設定するのかを考えないといけません。
参考になるのは、やはり自店と同じ料理を提供する他店の価格です。
食べ歩きで相場をつかむ
店にもピンからキリまであるはずですから、同じレベルの店舗を食べ歩いてみるのです。
特に最初のうちは食べ歩いて、店舗の雰囲気と料理の価格との相関関係、そのジャンルにおける適正価格(相場)をつかんでおく方が良いでしょう。
他店のメニューを書き取る
ピンとキリを見て、なぜそのような価格設定になっているのかを利用者の立場で考えてみるのは大きな参考になります。
店舗を巡回した時にはついでに、そのメニューを出来る限り写し取ってくることです。
あとで、じっくり検討できますし、自店のメニュー構成の参考にできるからです。
その価格を参考に、まず自店舗での仮の目標設定を決めます。
原価比率を20%~40%以内に
次にそれを「原価比率」と照らし合わせて適否を判断します。
原価比率とは、食材費が最終販売価格の何%になるのかという数字です。
飲食業では、一応30%が適正な数字と言われていますが、その上下10%を見て、20%から40%以内に収まるように設定します。
すべての料理を30%に設定すると、価格がとんでもなく高くなってしまうことがあります。
したがって、「政策的な価格」を設ける必要があります。
「売りたい料理」の場合、その数字を40%あるいは最大限45%という数字にして価格をつけるのです。
すると、その料理は見た目よりもかなりお値打ちな感じになり、お客様の注文を促すことになります。
数量が出ると、それに伴って原価比率は下がっていき、儲けが多くとれるようになります。
反対に、品揃えの上で必要だけど、あまり売りたくない料理の場合、原価比率を下げて(販売価格を上昇させて)、「この料理うまそうだけど、ちょっと高いな」と思わせることで料理の出る数を抑える、なんてことも考えるのです。
このように原価比率は、高い低いがあってもいいのです。
全体として30%前後に収まるようすると、利益は確保されます。